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いかがわしいお店の並ぶ通りから一本南に入った通りに小さい煙草屋があって、煙草屋にしては珍しく夜の8時だったにもかかわらず開いていて、サンドウィッチと菓子パンとスナック菓子がせまい店の中に並んでいた。レジカウンターの後ろにはずらりとタバコが整列してあり、老婆と女の子がいた。
女の子は3,4歳くらいで、せかせかとタバコを箱から出しては商品棚に並べていた。
「これはセブンスター!」と女の子が言った。
「あら、すごいわねぇ、セブンスターなんてどうして読めるの?」と老婆が尋ねた。セブンスターのパッケージにはアルファベットしか並んでいないので老婆はなぜ彼女が読めるのか不思議に思ったのだ。
「ここに書いてあるの」と女の子は商品棚の値札を指していった。値札には「セブンスター 300円」と書いてあった。
「へぇすごいねぇ、カタカナが読めるの?]と老婆が聞くと
「カタカナなんて簡単よ!」と得意げに言った。「ほ・ん・と・う・に、すごく簡単なの!本当よ!」
女の子はカートンからボックスのセブンスターを4個取り出し、棚に並べようとしたが棚はもういっぱいでこれ以上並べられないことがわかるとそれをレジの横に置き、「仕事が増えた」とうれしそうに言った。そして、老婆に向かって「ねぇ、どこでカタカナを習ったと思う?」と聞いた。
「さぁどこだろうねぇ。分からないからヒントを頂戴」と老婆が言うと、女の子は目をきらきらさせながら、「それはね、、な・い・しょっ!」と言った。「しょっ!」の部分で彼女は上半身を35度くらい後ろに仰け反らせて言い、キャハハハと笑った。本当にキャハハハと笑った。

野菜サンドウィッチを持って3歩くらい後ろのレジに行き「お孫さんですか?」と聞くと老婆は「ええ、そうなんです。」と言って女の子と目をあわして2人でにっこりとしたので、なんだか僕も笑ってしまった。
女の子は相変わらずにっこりしたまま、くりくりした目でじっと僕を見た。僕が180円をテーブルに置くと、女の子は左手でさっと取り上げ得意そうに白い歯を見せた。祖母が「ありがとうございました。」と言い、女の子に向かって「ありがとうございました、でしょ。」とやさしく言った。
女の子は首を右に倒して、顔を斜めにむけて「またね。」と言った。
祖母が「ありがとうございました、でしょ。」と言うと、女の子はまたキャハハと笑った。

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22時を回ったドーナツ屋には22時にしては多すぎるくらい客がいたが、それはドーナツ全品100円セールをやっていたからで、僕の前に並んでいた太った女性は9個も買って持ち帰っていた。でもついたポイントはたったの42ポイントで、合計で今297ポイントになりました、と女性店員が愛想よく言った。

僕はブレンドコーヒーとオールドファッションを注文した。後ろに並んでた初老の男は「エンゼルクランチとブレンド」と注文した。それは何か素敵な魔法のような響きだったが、商品名は本当はエンゼルフレンチだった。
彼は僕の3つ隣の1人席に座ってエンゼルクランチを食べ、コーヒーを飲み、タバコを呑んだ。しばらくすると、彼が注文するときレジを担当した女の子の店員が「コーヒーのおかわりはよかったですか?」と近づいてきた。彼はおかわりを頼み、女の子がコーヒーを注いでいる間にセカンドバッグからCDケースを取り出し、にこっと笑って「これが新しいのだから」と言ってそれを女の子に渡した。彼女は口角だけを上げる困ったような笑顔で「ありがとうございます」と言ったが、彼の方はすごく満足そうに微笑んでいた。

通路を挟んで話し合っている30代半ばくらいの女性2人連れの話し声がBGMとBGMとの間に聞こえた。
1人は茶色い髪をして、1人は黒い髪をしていた。茶色い髪のほうが語気を強めて、音節を区切って、「だって、長女で、しかも、女の子なのよ」と、長女で男の子であることの方が自然だという風に言った。その後にすぐ「間違えた。女の子で、しかも長女なのよ」と言い直したが、黒い髪の女は「うん」と答えただけだった。

僕は読みかけの「オリバー・ツイスト」の上巻を30分かけて読み終わり、下巻がなかったので、バッグに入れたままになっていた「勝者に報酬はない」を読んだ。その間に2回コーヒーのおかわりをして、5本タバコを吸った。カフェインとタールで口の中が苦々しくなったので、店を出て地下鉄に乗った。金曜日の終電間際の地下鉄は混んでいた。誰かが朝の山手線並みだとか何とか言っていた。

僕の隣に立った47歳ぐらいのサラリーマンは鞄から「お茶畑の中からこんにちわ」と書かれたお茶パックを取り出し、隣の46歳ぐらいのサラリーマンに延々とこのお茶の素晴らしさについて喋り、それが終わると46歳の方が47歳の方に、モン・シュシュには限られた人にしか知らされていない予約専用の電話番号があってそれを利用すれば皆が並んでいる中をすーっと追い抜いてちゃちゃっと買えてしまうのだ、その優越感たるや換えがたいものである云々と喋っていた。「そんなにおいしいの?」と47がニタニタ笑いながら聞くと46は、「結局希少価値があるからおいしく感じるだけですよ。きっと何も知らされずに食べてもそんなに感動するわけないですよ。」とニタニタ笑いながら言った。46が今一番食べたいのは、高島屋の1階にいつも行列が出来ている店のバームクーヘンだということだった。彼らはその一連のやり取りの中で実に多く笑った。3秒に1回は盛り上げる場所を作るという、コブクロのヒット曲作成方法の秘訣を実に忠実に会話に取り入れていた。

電車には他にも色々な人がいたが、判を押したように皆黙っていた。
遊びなれてそうな女は終始ケータイをいじっていた。遊びなれてなさそうな女も終始ケータイをいじっていた。
オタクらしい男はオタクらしいゲームをし、ビジネスマンらしい男はビジネス書らしい本を読んでいた。
しかし皆一様に酔っ払っていた。



ポパイ


日曜日は朝5時出発で琵琶湖(旧彦根湖の辺り)にバス釣りに連れてってもらって、芸能人チキチキ釣り選手権での松っちゃんの言葉を借りれば小銭入れのようなバスを10匹とブルーギルを2匹釣って、肉そば食って、打ちっぱなしにつき合わされフォームをダメだしされ、雨の中原付で帰った後東京で働き始めた友達とスカイプで4時ごろまで喋って、最近のヘビーローテのジャンゴ・ラインハルトによるあま~いLa Merを聴きながらいつも間にか眠ってました。

ゴルフを始めることはないと思うけど(どうも興味が持てない)、釣りは、これはなかなかいいですね。
小学生の頃は放課後になると竿もって川へ行き、エサとなるミミズは現地調達したり、竿がなければ竹を取ってきて糸つけて簡易的な竹竿をこしらえて魚釣りに夢中になったもんです。ニジマスの釣堀行って自分で釣った魚のはらわたを取り除いてもって帰り、その日の夕食に調理してもらったりもしてました。
一度親父が海釣りに幸島(猿小島って呼んでた)の辺りに連れて行ってくれて、僕と弟でキスを数匹とふぐを一匹と名前がわからん赤い魚を一匹釣ってその場でバーベキューしたことがあります。もちろんふぐは手に負えなかったのでリリースしたけど。
潮が引いて猿小島に歩いて行けたし、野生の猿も芋洗ってたし、あれは今思えば楽しかったです。

しかしバス釣りというのは何故用語が横文字ばっかりなんでしょう?「ウィードに気をつけろ」って言われても何だかB級のスパイ映画みたい。ちなみに水草のことだそうです。世界史を習い始めた高校生のような気分です。


こんなこともありました。昨日の釣りの話。

釣りをする僕たちの後ろの藪から猫が2匹(三毛猫と白猫)現れて、誰かが魚をあげるのを今か今かと待ち構えていました。そんな姿を見せられると「よ~し、まっとれよ」と、何とか彼らにご馳走を献上したいと思ってこっちも燃えてきました。そのときちょうど、僕を釣りに連れてってくれたNさんがヒットし、魚を水からあげると三毛猫の方がダッシュで近づいてきました。でも手でつかむ前に魚がピョンと逃げてしまうと、猫は「はっ」とした表情を浮かべピタっとその場で動きを止めてしまいました。思わずNさんも猫に向かって「ごめ~ん」と言いました。すごくかわいそうなことをしたけど、トボトボともう1匹の方へ帰るその悲壮感たっぷりの後姿は愛らしいことこの上ないといった感じです。
ちなみにその後すぐ隣の男の子に当たりがきて、見事猫たちに魚をあげていました。よかったなドラ猫!


久しぶりに聴いたけど、
わざわざ書くようなことじゃないかもしれんけどかっこいいよね。
すごく好きだな。










スタンド・ユア・グラウンドスタンド・ユア・グラウンド
(2006/10/04)
リトル・バーリー

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明日は土曜日にもかかわらず出勤しなければならない僕は会社に行く前に、事故後5ヶ月目にしてようやく修理に出した愛車ハバナ号(2万で買った原付)を取りに行く予定。
なんだか長く会ってなかった友達と久しぶりに再会するような気分です。きっとハバナ号にはハバナ号的哲学があって、そのせいで久しぶりに会うのが少し照れくさい感じになってしまうのです。おかしなもんです。

タイトルは若き時代のエルネストとその友人アルベルトのための筏(いかだ)の名前なんだけど、僕は折に触れてこの名前を思い出す。折に触れて?いったいどういうときか今はわからないけど、とにかくこの言葉を口に出してみたり、頭の中に思い浮かべたりすると不思議な優しい気持ちになるし、なんてイカした名前なんだ、と思う。イカしたって、もっとみんなが普通に言ってたらいいのにな。


確か「長いお別れ」で出てきた台詞だと思うけど、あらためてチャンドラーの書く台詞はいちいちかっこいい。ギムレットはカクテルの名前でえ~今ウィキ調べたらジンとライムの酒らしくて、長いお別れのことも書いてるぞ、なになに「ギムレットには早すぎる<"I suppose it's a bit too early for a gimlet," he said.>」だと?まぁ翻訳だからどっちでもいいや。それに「ギムレットにはまだ早い」の方がかっこいい気がするな。

ところで、僕は最近思うのです。
「クリスマスにはまだ早い」と。
多少強引な導入だけど、まぁいいか。
まだ11月も中盤に突入したばっかりだっていうのに街はイルミネーションであふれたりしませんか?
みなさんの街はどうなんでしょう?
気がつけばカーラジオでもクリスマスの歌がちらほら聴こえるようになってきました。
早すぎませんか?
どうかしてると思うんですよね。ちょっといかれてるっていうか。

断っとくけど僕はクリスマス好きなんです。
なぜかカップルたちの素敵イベント的位置づけの日本のクリスマスより、もっと家族的な、もっと地域的なキリスト教圏内のクリスマスにすごく憧れがあるんです。
ディッケンズの「クリスマス・カロル」もカポーティの「クリスマスの思い出」も大好きなんです。「サンタが街にやってくる」も、ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」も大好きなんです。
わけなんてありません。
太陽とか冒険とかクリスマスとか黒いブーツが子供のときからただ単純に好きなだけさ、といった感じです。

緒方直人がナレーションをしていた時代(僕は中学~高校くらいでした)のTBS世界遺産で、北欧のどこかの小さな村のクリスマスの様子をやっていて、そこがどの国で何という村だったのかも忘れてしまったけど、タイトルが「世界で一番遅いクリスマス」だったというのは覚えている。録画して何度も見た。若い人はみんな出てしまったけど、クリスマスには戻ってきたり、戻ってこなかったり、身寄りのない老婆は近所の食料品店で一人だけのクリスマス・ディナーを拵え、何かの用事があって立ち寄った人に1杯のウォッカを飲ませていた。体を温めなくちゃいけないのだ。だってそこはとてもとても寒いから。ちゃちに聞こえるかもしれないけど、彼女の眼はとてもきれいでした。

だから、もっと特別なものにして欲しいんです。
もっと限られたものに。
限定性が美しさを際立てることって往々にあると思うんです。
一ヶ月以上もクリスマスキャンペーンやるなんて、なんかかなしくなってくるんです。
そこに金の匂いしかしないから。
そうなんだよな、結局キャンペーンなんだし、こういう社会でこういう嘆き方しても虚しいだけなんだけど、僕はとにかく何かしなければならないと思ってます。
そこで、まず石油ストーブを手に入れようと思ってます。


長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))
(1976/04)
レイモンド・チャンドラー

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今日21時前にAMしか入らない会社の車で何気なくラジオを聴いていると

「ガチャピン・ムックのパジャマデナイト」という番組をやっていた。

なにせ声だけだからパジャマでナイトなのか、パジャマDEナイトなのかはわからない。もちろんパジャマdeNightかもしれないし、パジャマdeKnightかもしれない。
でもそんなことはどうでもいい。問題はガチャピンの声だ。聴いていると、かの万能型恐竜の顔ではなく、茶髪の短髪の中年女性の顔が思い浮かぶのである。もちろん想像だ。ラジオだからさすがに着ぐるみ着る必要はないだろうし、そりゃ絶対素でやってるんだろうけど、ガチャピンの声だけを聴くとなんだか妙におばちゃん臭が漂うのである。その反面ムックの声だけはムックの声にしか聴こえず、役者としてはこっちが上手か、と勝手に現実世界での2人の実力差を測ってしまったりしていた。

エンディングがまた、すごい。

ガチャンピン「みんなおやすみ。ねぇねぇムック、今日は何を数える?」
ムック「そうですな。今日はお洗濯物を数えましょう。」
ガチャピン「いいねぇ。じゃあ数えよう!」
ムック「よぉ~~~し、


お父さんのパンツが1枚、お兄さんの靴下が2枚、お母さんのスカーフが3枚、おじいちゃんのももひきが4枚、お姉さんのスカートが5枚、おばあさんの腹巻が6枚


1枚とか2枚とか言うときは「いちま~い!」「にま~い!」と大きい声で言い、しかもその後にドヒューンという効果音が入るのだ。
僕はどうしても、真夜中の公園で盗み出してきたお洗濯物を、まるで玉いれ競争の得点を数えるときのように籠から放り投げ、2人にしかおこすことにできない種類の風でもってどこかに飛ばしている様子を想像してしまった。至極楽しそうにやってのける様はまさに極悪人である。

そして本ブログを書くに当たってガチャピンの表記が平仮名か片仮名か気になったので調べてみると、片仮名であっており、なんとガチャピン日記というブログを発見してしまった。基本的にはガチャピンが書いているけど、ムックもたまに書いている。そして下の写真は「6月9日は『ムック』の日だからこの日はムックが日記を書こう」と張り切っていたのに、すっかり忘れてほったらかしにしたことを激しく後悔する6月12日のムック氏の姿だ。

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華やかなテレビの世界では絶対見せてはならないこの姿。まったくの話、悲劇的な写真である。


古本屋で古い本を探したり、中古レコード屋で中古レコードをあさったり、時間がいくらあってもたりません。でも読んだり聞いたりする時間はもっとたりません。
今週も土日で映画を3本見てレコードを3枚買って古本を8冊買ってしまいました。映画100円×3、レコード小計4500円、古本100円×6・250円×2、といった具合で、何かと金のいる今のマイ・財布的には厳しいけど、考え方によっては6000円で多分これから20年くらい楽しめるんじゃないか、と考えたら安い買い物です。僕はどうもそういう考え方をしてしまうので、毎月財布が悲鳴をあげることになるのです。

学生の頃、元朝日新聞の記者の人の講義があったのですが、何一つ内容を思い出せません。ただ、クラスの後、皆でその人を囲んでの質疑応答みたいなのがあって、その時に彼が本と音楽だけにはケチにならないようにしてたと言ってたのははっきりと覚えています。僕の経済状況が毎月芳しくないのは彼の言葉が多分に影響していると思われます。感謝しています。



Hampton Hawes Trio, Vol. 1Hampton Hawes Trio, Vol. 1
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「お前さっきから楽しそうにしゃべってるけどグラス全然洗ってねージャン。」
「あ、すいません。」
「いいのかよ、明日下田さん来たらびっくりするぞ。」
「いや、店長は開店と同時に来るってことはないですから。」
「洗えよ。」
「いいんですよ、もう閉店だし、明日のバイトがやりますよ。どうせ5時に開店しても客なんて来ないから。」
「俺が洗われてないグラスを見るのがいやなんだよ。ちょっと俺と代われ、洗ってやる。」
「いや、いいですから。タケルさんはお客さんでしょ。」
「いいんだよ、さっきも洗ってきたとこだらその延長みたなもんだろ。」
「それだったら自分で洗いますよ。」
ジャージャージャー
「お前当然のようにお湯で洗ってるけど、なんでお湯で洗うか知ってるか?」
「季節的なもんでしょ。もう11月ですよ。」
「ばかやろう、ちげーよ。お湯で洗うと乾きがはえーからだよ。」
「へぇ~。」
「へぇ~じゃねーよ、お前それでもバーテンか?」
「まだ三ヶ月目のただのバイトですけどね。」
「言い訳してんじゃねーよ。それで金もらってんだろ。」
「すいません。」
ジャージャージャー
「あのな、本来は洗剤も使わなくていいんだからな。」
「え、そーなんですか?」
「使うには使うけど、縁の部分だけでいいんだよ。そんなグラスの底までみっちりやる必要ないってことだよ。」
「へぇ~。」
「へぇ~、じゃなくてよ、『なんでなんですか?』とか言えねーのかてめーは。」
「何でなんですか?」
「お湯で洗うと菌みたいなもんは全部ぶっ飛んでくんだ。洗剤使うと微妙に残ってしまうことがある。特に忙しい時は結構なおざりになるからな。」
「なおちゃんザリザリ、無駄毛の処理がいい加減。」
「てめーマドンナ古文引用してる場合じゃねーんだよ、さっさと洗え。」
「はい、すんません。」
「お客さんはな、うまい酒が飲みたいんだよ。それか少なくとも不味くない酒をな。それでお前洗剤の味がちょっとでもしてみろ。味はしなくても匂いとかよ。そんな店また来ようかなんて思うか?」
「思いませんね。」
「だから極力洗剤は使わない。縁に使うのはわかるよな?」
「間接キス防ぐためじゃないんですか?」
「お前中学生か。そんなんじゃねーよ。」
「じゃあ何すか?」
「お前ほんと馬鹿だな。女の人が飲んだ後、口紅が残ってたりすんだろ?それ落とすのは洗剤しかねーだんよ。」
「なるほどね。」
「ほんと偏差値高い奴に限ってこういう当たり前のこと知らねーんだよな、まったく。」
「はぁ、すいません。」
「大学じゃおしえてくれねーだろ?」
「まぁまず習わないっすね。」
「お前専攻なんだっけ?」
「一応機械工学ってやつです。」
「超理系ジャン。どうだ、おれの言ってることは理にかなってんだろ?」
「かなってますね。」
「お前適当に言ってんだろ。」
「この会話に適したことは言ってると思いますよ。」
「あーこれだよ。これだからインテリってやつはよ。」
キュッキュッキュ
「どうだ、少しは自分の周りがきれいになってすっきりしただろ?」
「そうですね。」
「お前今みてーに暇な時にこういうのやっといたほうがいんだからな。」
「それはそうですね。」
「それでよ、洗いもんしながら客と話せなきゃだめだぜ。それが出来てバーテンだ。」
「じゃあ僕今すごくバーテンぽかったですね。」
「おう、それは言えてる。」


「なんちか?」

「なんがよ」

「じゃかいなんちかよ?」

「なんでもないちよ」

「なんがなんでもないちこっがあいかよ」

「じゃかいなんでんねぇち言うちょっがよ」

「そげんどならんでんよかろがよ」

「わいがひつけじよ」

「じゃっどん何かあいとやろがよ?」

「何かあったら言うちょわ」

「言うちょらんがよ」

「何もないとに言うちょも何もねやろが」

「何もないとか?」

「そげん言うちょっがよ、何もねぇとよ」

「何もねぇとな?」

「おお、何もねぇど」














「そらまこっかよ」

「まこっち何がよ?」

「じゃかい、まこち何もねぇとやな?」

「まこち何もねぇとよ」

「まこちな?」

「まこちよ」

「じゃっどん何か理由ぐらいあっどがよ?」

「何もねぇちよ、どら、もういい加減帰らんかわら」

「まぁしたん、そげな言い方せんでんよかろごたっどん」




どれみふぁどれみふぁ
どれみふぁド~ナツ

ジャンボ!



今日はソフトバンクのお店で料金プランとか色々聞いて、中古レコード屋で時間をかけて物色して、焼き上がった写真を引き取って、ミスドで『オールドファッション』と『チョコレート』とコーヒー頼んで、しっかりコーヒーは3倍おかわりして、だいぶ前に買ってなんとなく読む気になれなかった小説を読んでいたけど、あんまり内容に集中できなくて、

「そういえばおばあちゃんは僕がまだ小学生だった頃にダスキンでパートみたいなのをしてたことがあって、たまにドーナツが10個くらい入った縦長の箱を持って帰ってきてくれたなぁ。めちゃめちゃうれしかったなぁ。何かあの箱夢あふれまくってる感じやったなぁ。こう、何ちゅうかたまらんかったなぁ。オールドファッションっておいしいし、いい名前やなぁ。」

みたいなことを考えてました。


ちなみに「そらお」が登場の際必ず言うジャンボは、チャーリー浜でいうごめんくさい的、または井上竜夫でいうおじゃましまんにゃ~わ的なものではなく(ずっとそう思ってた)、スワヒリ語の挨拶だというのを大学生になってから知りました。ああ、可愛そうな弟よ。彼はまだずいぶん小さい頃得意げに「ジャンボ!」と言って親指を突き出して言ったそばから自分で笑い転げていたのだ…!モノマネする対象が「そらお」という、この角度今までなかったやろ~といった具合に、それはそれはスワヒリ語のこんにちわ(当時はただの気の利いたギャグとしか思ってなかったけど)でよくもまぁあれだけ笑えたもんだと思う。でも今思い出したらちょっとおもしろい。


ええやんけ。

偉大なるデスリフ (新潮文庫)


やんけやんけやんけやんけそやんけワレ
ワレワレワレ そやんけ



彼が生まれて初めて本物の自動小銃を見たのはクアラルンプールのチャイナタウンから少し離れたところにある一軒のバーを出た2002年8月29日0:59分30秒で、生まれて初めて狙撃を受けたのがその「ちょうど」72秒後だった。

「5段くらい階段があるねんな。それ降りて、何となく時計見たら『あ、あとぴったし30秒で1時やん』て思ってん。それで覚えてるねん。」

そのとき僕たちがいたのはイスタンブールのバーだった。まだ冬の気配の残る2005年の3月の中ごろで、その日アジアサイドとヨーロッパサイドを結ぶ定期船の中で声をかけられ、飯を食べ、酒の席に誘われた。そこでこの、彼によれば「ちょっと癖の強い」話を聞いた。

「ほんでな、ほんまは『ちょうど』じゃないねん。72秒。銃こっち向けられて頭ん中真っ白なってな。もちろん比喩やで。ほんまは全然白くないねんけど、わからへん、完全にぶっとんでもうてん。無や、無。アタマおっつかへんねん。その時間が多分1秒ぐらいや。だからその1秒たして73秒後ってんのが正しいかもしらん。」

背の低い痩せた男と、背は低くはないけれどやはり痩せた男の2人組みだった。背の低い方が彼に銃を向けた。空白。その約1秒の空白の後彼の中で何かのスイッチが押された。のだと言う。

「たぶんな、ポチって誰か押しよってん。誰かいうても俺しかおらんけど。たぶん俺の知らん俺やな。ほんで気づいたら俺の知ってる方の俺が数数えてるねん。いち、に、さん、し、ご、ろく、って。向こうがな何か言ってきよんねん。金って単語が聞こえた。マニーってな。ほんで銃向けられてる状況でまさか足元金おちてるで、って教えてくれてるわけないやん?」

「まぁね。」

「そら『持ってるだけださんかい』言うとんねん。当たり前やわな。ほんで財布だそうとしてんけど、情けない話完全にかたまってんねん。がっちがちや。全然体うごかへん。動かさなとは思うけどな、どんだけやってもうごかへん。で、数だけ数えてる。」

72秒(もしくは73秒)というのは決して短い時間ではない。そういう状況で1分と12秒(もしくは13秒)という時間は永遠にも等しかった。しかしそれは彼が実際にやってのけたみたいに数字化できる時間で当然のことながら永遠ではなかった。その約1分と少しの時間彼の全神経は数を数えることにむけられた。少なくとも彼はそう感じた。

「防御本能みたいなものかな?危機的状況を直視する精神的負担を減らすためというか。」

「そうかもしらん。でも全然防御出来ていないけどな。だって撃たれてるし。」と言って彼は笑った。

強盗たちは硬直した人間を前に威嚇のつもりで、当てる気はなかったのかもしれない。もしくは発砲すらするつもりもなかったのかもしれない。彼の左手を銃弾がつらぬいたとき、彼は背は低くはないけれどやはり痩せた男(銃を持ってない方)が面倒くさそうな様子で背の低い方をグーで小突いたのを見た。

「ほんでちんたら歩いて向こういって…いつの間にか消えてたわ。」

「痛かった?」

「無粋な質問やわ。痛いのなんの、もうこの世のものとは思われへん、って言えたらええのになとは思うな。」

痛いには違いなかった。しかし彼はその痛みに集中できなかった。痛みに集中できなかった。血を失いながら意識も遠のいていく中で彼は必至に数を数えていた。銃声が0だ。カウントはリセットされた。それから1,2,3,4,5,6,7,8…


数日後彼は意識を取り戻し、退院し、心配で駆けつけた母親とともに帰国した。
大学に戻り残りの単位をとり、スーツを買い就職活動をし、食品を扱う比較的大きな専門商社に就職した。
ただ数を数えるという行為は止めることが出来なかった。

「自分が今そのタバコに火つけて今ちょうど220秒。221,ハイ今222、って具合や。どうやあってるか?」

「わかるわけない。」

彼は永遠と数えていくことができたが、秒数を重ね続けていくことはできなかった。どこかでリセットボタンが押されることになる。誰によって?もちろん彼によって。彼の知らない彼によって。僕がライターをこすったのが(その時の)一番最近のリセットだった。何がそのボタンとなり得るのか、彼にはそれが分からなかったし、コントロールすることもできなかった。なんと言ってもボタンを押す人間を彼は知らないだから。しかしそれは、朝の起床時を除けば完全に外部の音に起因することが割に早い段階でわかった。ドアの閉まる音。レンジの音。誰かのくしゃみの音。規則的な革靴の足音がぴたりと止んだ瞬間の無音。彼はそれまでより周囲の音に対して敏感になった。敏感にならざるをえなかった。

「そういう生活を常人が耐えることができるなんて信じられないな。」

「まぁ気持ちはわかるけどそれなりに耐えれてるからな。よう分からんけど、たぶん絶対音感の人みたいなもんちゃう?」

「それはまた違うだろう。」

「どこが?」

どこが?
分からない。僕はその簡単な質問に答えることが出来なかった。その2つの違いが明確に分からなかったのだ。僕はあらゆる物事を基点として数を数えてしまう人間でもないし、絶対音感を持った人間でもない。それにしても後悔した。俺はなんてばかげたことを言ってしまったのだろう。僕は僕の常人性を呪った。同時に少なからず感謝した。

彼は心でも読めるのだろうか。まさか。でも僕に向かってこう言った。

「ところで自分に一つ聞いときたいんやけど、常人って人種がほんまにこの世にいるって信じてるん?」

僕はまた答えることが出来なかった。









※追記

彼と出会ったとき僕は僕で個人的な問題の渦中にあり、今となってはこの記憶も不確かに思えるときがある。
というのもその1週間程前に僕は大量の睡眠薬を飲まされ、2日間意識を失い、眼が覚めてから4,5日は荒らされた胃のせいで食欲がわかず、混濁した意識に沈殿してしまう瞬間が日に何度か訪れた。それは言うまでもなく僕の人生において初めての経験だった。
だから彼との出会いは夢か、もしくは夢のようなものだったのではないかと思うことがある。
その一方確固たる形をもって彼と話した場面場面がよみがえることがある。
真っ先に思い出すのが彼の持ったグラスに書かれたアルファベットの羅列だ。EFESという地ビールの銘柄で、青文字で白く縁取られている。天井に無数に下がったランプ。一つとして同じ形はないがどれも丸みを帯びた逆三角形をしており出現すべき場所を間違えたつららのように見える。カウンターに座った白髪の老人と老人が吐き出すタバコの煙。僕がテーブルに置いたハイライトのパッケージ。聞きなれない国の聞きなれない言葉による笑い声と喧騒。
でも、どういうわけだか数を数え続けるという彼の顔は浮かんでこない。
彼は翌日少し南に行くのだと言い、そのバーをでてから僕たちは別れの挨拶をした。
もちろん二度と会うことはなかった。これからもないだろう。

本来、彼が話したこの「ちょっと癖の強い」話を信じる根拠も理由も僕には全くない、というのをここで断っておこう。
冷静に考えたら、彼の話をまともに信じ込む方がどうかしてる。それは認めざるを得ない。
にもかかわらず僕は彼の話に惹かれてしまうということを否定することは出来ない。

彼は言った。
「スイッチが入った瞬間が0。ほんでカウントが始まるのが1。だからその0から1にいく1秒間、そのたった1秒間に自分の生が一気に凝縮されてる気がする。特に眼が覚めたとき。眼が覚めた瞬間が0。眼を開けても開けなくても0。それで1秒後カウントがスタートする。その1秒が始まるのは恐い。ものすごい恐い。でもそこはカウントから開放されている唯一の時間でもあって、だからこそ何かしら触れがたい神聖性を持ってる、と感じてしまう。不安と安心、緊張と弛緩、苦痛と癒し、なんとでも言い換えることはできるけどな、希望と絶望ってのもくさいけど、まぁそうやからしゃあない。タコとイカってんのもいいな。実際なぜかタコとイカのことを考えることもある。なんでやろな?タコは不安の象徴か?イカが安心の象徴か?そんなん聞いたこともないやろ?こんなあほみたいなことが1秒間の世界で高速で俺の頭をつっきっていく。たった1秒やで。悲しい話俺はそこにしか生きている実感みたいなのを抱くことが出来ないでいる。」


午前中は晴れてたから今日は大丈夫かな~なんて思ってたら持ち堪えられませんでしたね。
東京は夕方に入る少し前からやっぱり雨が降ってきました。
梅雨だから当然なんですけど。
でもこう雨が続くともう鬱陶しくなってしまいがちですよね。
街の色も気持ちも文字通りブルーになるというか。
たまにはいいと思うんだけどな。
このあいだ久しぶりにぼ~っと雨が降っているのを見てたら、じっと外の雨を眺めてた経験てここ最近なかったな、って気づいたんですよ。たまにはいいもんですよね。世界が静かに洗われていくのをこっそり見てるようで。
こないだ久しぶりに会った友達に聞いたんですけど、近頃の家は防音対策がすごいらしくて、家の中にいても雨の音がほとんど気にならないんですって。確かにそれはそれで快適かもしれないけど、屋根に雨が当たる音がないのは、やっぱり少し寂しいですよね。
とまぁ雨についてこういう話をしていたら昔好きだった外国のミュージシャンが歌の中でこう言ってたのを思い出しました。
『少しくらいの雨なら濡れても構わない』
わたしその言葉なんだか素敵だなって思って。彼なりの哲学というかね、それってつまり生き方とも通じるものだと思うんですよ。その人の人生観が表されているっていうかね。もちろんそんなに深い意味で言ったわけじゃないかもしれないですけど。「俺は絶対天気予報は見ないぜ、少し濡れるくらい平気さ」みたいな具合に。それはそれでワイルドな男臭漂う台詞ですね。笑
ではここでリクエストにお答えしましょう。やっぱり雨にちなんだ曲なんですね。それもこれでもかってくらい王道。笑 でもこの曲を聴けば陰鬱な雨も楽しくなっちゃうから不思議ですよね。わたしも大好きな曲です。
それでは東京都○○さんからのリクエストで、
ビリー・ジョー・トーマス 「雨にぬれても」

Raindrops keep fallin' on my head
And just like the guy whose feet are too big for his bed
Nothin' seems to fit
Those raindrops are fallin' on my head, they keep fallin'…






せっかくの晴れた日曜の朝をDVD見て過ごす相変わらずのインドア具合。

「12人の怒れる男」
監督:シドニー・ルメット
主演:ヘンリー・フォンダ
1957年・アメリカ

所謂名作。
全然金かかってない。
だってず~っと会議室のシーンやもん。
別に裁判員制度が始まったから、という問題意識があったわけじゃないけど、もしかしたらどっかにあったのかもしれないな。

「リアリズムの宿」
監督:山下敦弘
主演:長塚圭史・山本浩司
音楽:くるり
2004年

監督は日本のジム・ジャームッシュとも言われる山下敦弘。なるほど、と納得。ジャームッシュファンとしてはそれなりに楽しめた。
でも、それならジャームッシュ見とけばいいやんって思ってしまった。リンダ・リンダ・リンダのほうが僕はストレートで好きだな。


その後インドアなりに外出したけど結局古本屋に赴き、名前は知ってても読んだことのなかった作家の作品と、好きな作家の読んだことのなかった作品を中心にインドア生活に拍車をかける小説達を10冊程買ってしまう。
しかし古い紙の匂いはなぜこうも落ち着くのだろうね。





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ケータイがそろそろ限界に近づいている。遂に着信音が聞こえなくなった。そろそろ買い替え時かな。
ドコモ→J-phone(vodafone)→au→ドコモと一通り持って、今ドコモが4年くらい。
次に買うとしたらソフトバンクかな、とは思っていて、iPhoneもいいなぁと思っていた。
メールはうちにくいやろうけど、ほとんどメールしないしiPod持ってないしちょうどいいかな、なんて思ってて。
それでこないだ会った友人がiPhoneを持っていたので色々見せてもらった。
彼は仕事柄実際に使ってみる必要性を感じて買ったらしいのだが、結果的に言うと僕はその最新の携帯式端末が僕の人生にもたらしてくれるであろう必要性をどうしても見つけられなかった。
僕たちはテレビ塔の近くのYURIというジャズ喫茶にいた。古い木の温もりと古いレコードで出来たいささか古い店だ。その店にいる時は少し大きすぎるくらいのスピーカーの音量に負けじと少し大きめの声で喋らなければならない。僕たちが店に入った時ソニーロリンズがかかっていた。後は分からなかった。「これはなんて曲だろうね。」僕は彼に尋ねる。彼はおもむろにiPhoneを取り出し、無料でダウンロードできる「アプリケーション」を使って、ちょちょいと操作した。すると、今店内でかかっている曲情報が手のひらサイズより少し大きいディスプレイに表示された。
僕は思わず感嘆の声をあげた。すごい。テクノロジーはついにここまできたか、とそういう意味だ。
車でカーラジオを聴いているとたまに思うことがある。これは一体誰の何という曲なのだろう、と。もちろんHPを見ればラジオのオンライン曲目リストで確認は出来るのだが、僕の場合ラジオを聴くのは車に乗っている時で、車に乗っている時は仕事をしている時だけだから、よほど暇でない限り「今日の3時8分に79.5HzのFM放送ででかかっていた曲は何だったのだろう」とそのラジオ局のHPをチェックすることなどない。そして今の僕の仕事には「よほど暇」という時間はない。僕は日々忙殺されている。そんな時こういう端末を持ち歩くということは、それなりに、というかかなり便宜的なものに思えたのだ。

店を出てコンビニで缶コーヒーとタバコを買い、近くの植え込みに座った。
とりとめのないことと、とりとめのないとは言えないようなことを喋っていた。
「iPhone買うん?」と彼は言った。
「どうしようかな。でもさっきのあの機能は便利だと思う。他のゲームとかはいらんからあれだけのために買ってもいいかもね。」
「曲情報がでるのはiTunes Storeにあるやつだけやけどな。」
「でも便利には違いないね。…でもそうしてコミュニケーションが死んでいくんやね。」
自分がそう口に出すまでほとんど意識していなかったのだが、何故か口をついた。
4秒くらい後僕は4秒くらい前にそう口にした自分に少なからず感心した。変な話だけど。
ああ、そうだよね、やっぱりお前もそう思ってたんだといった感じだ。

情報の一方通行であるラジオとは違うのだ。ましてや有線放送を垂れ流しているファミレスでもない。こだわりに捕われた少し頑固な店だ。CDは置いていません、やはりジャズはレコードで聴くにかぎりますよ、とかそういう類の捕われ方だ。偏狭といえば偏狭なのかもしれない。でも僕はそういうお店は好きだ。音楽というものに対する基本的な姿勢だと思うし、自分の中で何かしらそうありたいという憧れさえある。
話を戻そう。iPhoneだ。僕が思うのは、何故そんなめんどくさいことをしなくちゃならないのだろうということだ。気になった曲はそこの店員に聞けばいい。すいません、今かかっているこの曲は誰の何という曲でしょう。シンプルだ。とても自然なことだ。なのに何故「最新の」テクノロジーを搭載した数万する携帯電話(そうなのだ、これは携帯電話なのだ)をPCに繋げてネットに繋げてアプリケーションをダウンロードしインストールするのか、その必然性がわからない。そしてそれはそこに存在するべきだったコミュニケーションが死んでしまったのだということを示していた。



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